2013年8月5日月曜日

77.隠遁

○老子の原文を道具として解釈したもの

 自然は弓に弦を張るのに似ている。
 弓は堅強にした中心を押さえ、柔弱な両端
を曲げて弦を張る。
 強いものは抑え、弱いものは自由にする。
 自然も同じで、強い生き物は少なく抑え、
弱い生き物は種類も量も多く盛んにする。
 人のやることは、足らないところをさらに
飢えさせ、余っているところを盛大にする。
 なぜそんなことになるのか。
 分かっている者は少ない。
 分かっている者は、所有するものは少なく、
仕事を成し遂げたら退く。
 高い地位にはいない。


○老子の読み下し文

 天の道は、それなお弓を張るがごとき。
 高き者はこれを抑え、下き者はこれを挙ぐ。
 余りある者はこれを損し、足らざる者はこ
れを補う。
 天の道は、余りあるを損して、足らざるを
補う。
 人の道は足らざるを損して、以て余りある
に奉ず。
 孰(だれ)かよく余りありて、以て天下に奉
ずるものぞ。
 ただ有道者のみ。
 ここを以て聖人は、なして恃(たの)まず、
功成りて処(お)らず。
 それ賢を見わすことを欲せず。


○老子の原文

 天之道、其猶張弓与。
 高者抑之、下者挙之。
 有余者損之、不足者補之。
 天之道、損有余而補不足。
 人之道則不然。
 損不足以奉有余。
 孰能有余以奉天下。
 唯有道者。
 是以聖人為而不恃、功成而不処。
 其不欲見賢。

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