○老子の原文を道具として解釈したもの
集団の力を利用しなければ、どんな権力も
役に立たない。
それには、集団を行動不自由にしないこと。
個々の生活を邪魔しないこと。
生活を邪魔しないから集団になる。
個々の生活は違うのだから強制はしない。
自由はあるが役割も与える。
だから集団の力になるのだ。
○老子の読み下し文
民、威を畏(おそ)れざれば、則ち大威至る。
その居る所を狎(せば)むることなかれ。
その生くる所を厭(おさ)えることなかれ。
それただ厭えず、ここを以て厭(いと)わず。
ここを以て聖人は、自ら知りて自ら見(あら
わ)さず。
自ら愛して自ら貴しとせず。
故に彼を去てて、これを取る。
○老子の原文
民不畏威、則大威至。
無狎其所居。
無厭其所生。
夫唯不厭、是以不厭。
是以聖人自知不自見。
自愛不自貴。
故去彼取此。
2013年7月31日水曜日
2013年7月30日火曜日
71.知識
○老子の原文を道具として解釈したもの
知っていることが全てとは言えない。
だから分かっているとは言えない。
知っていることを確かめて、はじめて分かっ
てくる。
何でも分かるとは。
それは、分かったことからまた新しいこと
を知ることができ、その積み重ねをすること
だ。
○老子の読み下し文
知りて知らずとするは上なり。
知らずして知るとするは病なり。
それただ病を病とす、ここを以て病あらず。
聖人は病あらず。
その病を病とす、ここを以て病あらず。
○老子の原文
知不知上。
不知知病。
不唯病病、是以不病。
聖人不病。
以其病病、是以不病。
知っていることが全てとは言えない。
だから分かっているとは言えない。
知っていることを確かめて、はじめて分かっ
てくる。
何でも分かるとは。
それは、分かったことからまた新しいこと
を知ることができ、その積み重ねをすること
だ。
○老子の読み下し文
知りて知らずとするは上なり。
知らずして知るとするは病なり。
それただ病を病とす、ここを以て病あらず。
聖人は病あらず。
その病を病とす、ここを以て病あらず。
○老子の原文
知不知上。
不知知病。
不唯病病、是以不病。
聖人不病。
以其病病、是以不病。
2013年7月29日月曜日
70.周知
○老子の原文を道具として解釈したもの
自然は隠さず見せ、隠さず実行している。
だけどそれが見過ごされ、実行もされない。
そこには誕生の秘密があり、成長の秘密が
ある。
これが分からなければ自分のことも分から
ない。
自分のことが分かれば尊ばれる。
そんな人は普通にしていても、利益が入っ
てくる。
○老子の読み下し文
吾が言は甚だ知り易く、甚だ行い易し。
天下能く知るなく、能く行うもなし。
言に宗あり、事に君あり。
それただ知ることなし、ここを以て我を知
らず。
我を知る者希にして、我に則る者貴(とぼ)
し。
ここを以て聖人は褐(かつ)を被(き)て玉を
懐(いだ)く。
○老子の原文
吾言甚易知、甚易行。
天下莫能知、莫能行。
言有宗、事有君。
不唯無知、是以不我知。
知我者希、則我者貴。
是以聖人被褐懐玉。
自然は隠さず見せ、隠さず実行している。
だけどそれが見過ごされ、実行もされない。
そこには誕生の秘密があり、成長の秘密が
ある。
これが分からなければ自分のことも分から
ない。
自分のことが分かれば尊ばれる。
そんな人は普通にしていても、利益が入っ
てくる。
○老子の読み下し文
吾が言は甚だ知り易く、甚だ行い易し。
天下能く知るなく、能く行うもなし。
言に宗あり、事に君あり。
それただ知ることなし、ここを以て我を知
らず。
我を知る者希にして、我に則る者貴(とぼ)
し。
ここを以て聖人は褐(かつ)を被(き)て玉を
懐(いだ)く。
○老子の原文
吾言甚易知、甚易行。
天下莫能知、莫能行。
言有宗、事有君。
不唯無知、是以不我知。
知我者希、則我者貴。
是以聖人被褐懐玉。
2013年7月28日日曜日
69.即決
○老子の原文を道具として解釈したもの
指示を出すときは傲慢にならず、ささいな
ことにも気を配る。そして、前進はゆっくり
と、後退は早く動かす。
これは災いを未然に防ぎ、災いの芽を摘み、
被害を最小限にし、災いそのものをなくすた
めだ。
災いは見過ごせば大きくなり、取り返しが
つかなくなる。
だから、傷つくことは覚悟して、早く解決
するのだ。
○老子の読み下し文
兵を用うるに言えることありて、吾、敢え
て主とならずして客となり、敢えて寸を進ま
ずして尺を退く。
これを行くに行(みち)なく、攘(はら)うに
臂(ひじ)なく、執(と)るに兵なく、つくに敵
なしと言う。
禍は敵を軽んずるより大なるはなく、敵を
軽んずれば、幾(ほとん)ど吾が宝を喪(うしな)
わん。
故に兵を抗(あ)げて相加うるに、哀しむ者
勝つ。
○老子の原文
用兵有言、吾不敢為主而為客、
不敢進寸而退尺。
是謂行無行、攘無臂、執無兵、ツ無敵。
禍莫大於軽敵。軽敵、幾喪吾宝。
故抗兵相加、哀者勝矣。
指示を出すときは傲慢にならず、ささいな
ことにも気を配る。そして、前進はゆっくり
と、後退は早く動かす。
これは災いを未然に防ぎ、災いの芽を摘み、
被害を最小限にし、災いそのものをなくすた
めだ。
災いは見過ごせば大きくなり、取り返しが
つかなくなる。
だから、傷つくことは覚悟して、早く解決
するのだ。
○老子の読み下し文
兵を用うるに言えることありて、吾、敢え
て主とならずして客となり、敢えて寸を進ま
ずして尺を退く。
これを行くに行(みち)なく、攘(はら)うに
臂(ひじ)なく、執(と)るに兵なく、つくに敵
なしと言う。
禍は敵を軽んずるより大なるはなく、敵を
軽んずれば、幾(ほとん)ど吾が宝を喪(うしな)
わん。
故に兵を抗(あ)げて相加うるに、哀しむ者
勝つ。
○老子の原文
用兵有言、吾不敢為主而為客、
不敢進寸而退尺。
是謂行無行、攘無臂、執無兵、ツ無敵。
禍莫大於軽敵。軽敵、幾喪吾宝。
故抗兵相加、哀者勝矣。
2013年7月27日土曜日
68.間合い
○老子の原文を道具として解釈したもの
指示するものは動かない。
よく動くものは狙いをはずさない。
生き残るものは同じことを繰り返さない。
役に立つものは他の動きに合わせる。
これで災いを防げ、力を発揮し、自由に行
動できる。
昔から行われていることだ。
○老子の読み下し文
善く士たる者は武ならず。
善く戦うものは怒らず。
善く敵に勝つものはともにせず。
善く人を用うる者はこれが下となる。
これを争わざるの徳と言い、これを人の力
を用うと言い、これを天に配すと言う。
古えの極なり。
○老子の原文
善為士者不武。
善戦者不怒。
善勝敵者不与。
善用人者為天下。
是謂不争之徳、是謂用人之力、是謂配天。
古之極。
指示するものは動かない。
よく動くものは狙いをはずさない。
生き残るものは同じことを繰り返さない。
役に立つものは他の動きに合わせる。
これで災いを防げ、力を発揮し、自由に行
動できる。
昔から行われていることだ。
○老子の読み下し文
善く士たる者は武ならず。
善く戦うものは怒らず。
善く敵に勝つものはともにせず。
善く人を用うる者はこれが下となる。
これを争わざるの徳と言い、これを人の力
を用うと言い、これを天に配すと言う。
古えの極なり。
○老子の原文
善為士者不武。
善戦者不怒。
善勝敵者不与。
善用人者為天下。
是謂不争之徳、是謂用人之力、是謂配天。
古之極。
2013年7月26日金曜日
67.三つの貴重なモノ
○老子の原文を道具として解釈したもの
大き過ぎるものは認識できない。
認識できないぐらい大きいのだ。
認識できていたらすでに奪い合ってなくなっ
ている。
それには三つの貴重なモノがあるからだ。
一つは、育てる力。
一つは、無駄をなくす力。
一つは、退く力。
育てるには勇気がいる。
無駄がないから広まる。
退くから継承できる。
もし、育てず、無駄をし、退くこともなけ
れば滅ぶ。
育てる力があればどんな困難にも立ち向か
え、守りとおせる。
育てているものには誰も手出しができない。
○老子の読み下し文
天下皆我が道を大にして不肖(ふしょう)に
似たりと言う。
それただ大、故に不肖に似たり。
もし肖(しょう)ならば、久しいかな、その
細たることや。
我に三宝あり、持してこれを宝とす。
一に、慈。
二に、倹。
三に、敢えて天下の先とならず。
慈、故に能く勇なり。
倹、故に能く広し。
敢えて天下の先とならず、故に能く成器の
長たり。
今、慈を舎(す)てて、まさに勇ならんとし、
倹を舎てて、まさに広からんとし、後を舎て
て、まさに先んぜんとすれば、死せん。
それ慈は、以て戦えば則ち勝ち、以て守れ
ば則ち固し。
天まさにこれを救わんとし、慈を以てこれ
を衛(まも)る。
○老子の原文
天下皆謂我道大似不肖。
夫唯大、故似不肖。
若肖、久矣、其細也夫。
我有三宝、持而宝之。
一曰、慈。
二曰、倹。
三曰、不敢為天下先。
慈故能勇。
倹故能広。
不敢為天下先、故能成器長。
今舍慈且勇、舍倹且広、舍後且先、死矣。
夫慈矣戦則勝、以守則固。
天将救之、以慈衛之。
大き過ぎるものは認識できない。
認識できないぐらい大きいのだ。
認識できていたらすでに奪い合ってなくなっ
ている。
それには三つの貴重なモノがあるからだ。
一つは、育てる力。
一つは、無駄をなくす力。
一つは、退く力。
育てるには勇気がいる。
無駄がないから広まる。
退くから継承できる。
もし、育てず、無駄をし、退くこともなけ
れば滅ぶ。
育てる力があればどんな困難にも立ち向か
え、守りとおせる。
育てているものには誰も手出しができない。
○老子の読み下し文
天下皆我が道を大にして不肖(ふしょう)に
似たりと言う。
それただ大、故に不肖に似たり。
もし肖(しょう)ならば、久しいかな、その
細たることや。
我に三宝あり、持してこれを宝とす。
一に、慈。
二に、倹。
三に、敢えて天下の先とならず。
慈、故に能く勇なり。
倹、故に能く広し。
敢えて天下の先とならず、故に能く成器の
長たり。
今、慈を舎(す)てて、まさに勇ならんとし、
倹を舎てて、まさに広からんとし、後を舎て
て、まさに先んぜんとすれば、死せん。
それ慈は、以て戦えば則ち勝ち、以て守れ
ば則ち固し。
天まさにこれを救わんとし、慈を以てこれ
を衛(まも)る。
○老子の原文
天下皆謂我道大似不肖。
夫唯大、故似不肖。
若肖、久矣、其細也夫。
我有三宝、持而宝之。
一曰、慈。
二曰、倹。
三曰、不敢為天下先。
慈故能勇。
倹故能広。
不敢為天下先、故能成器長。
今舍慈且勇、舍倹且広、舍後且先、死矣。
夫慈矣戦則勝、以守則固。
天将救之、以慈衛之。
2013年7月25日木曜日
66.指揮
○老子の原文を道具として解釈したもの
集団に指示しようとすれば、その集団の目
線に下りる。
だからうまく行動させられる。
指示は全体にいきわたるような分かりやす
い言葉を使う。
集団から取り残されたものがいないか、よ
く確認する。
そして集団と一体になって行動を共にする。
だから集団は指示に従うのだ。
そんな集団とは誰も争わない。
○老子の読み下し文
江海の能く百谷の王たる所以の者は、その
能くこれに下るを以てなり。
故に能く百谷の王なり。
ここを以て、民に上たらんと欲すれば、必
ず言を以てこれに下る。
民に先んぜんと欲すれば、必ず身を以てこ
れに後(おく)る。
ここを以て聖人は、上に処(お)りて民重し
とせず、前に処りて民害とせず。
ここを以て天下、推(お)すを楽しんで厭(い
と)わず。
その争わざるを以て、故に天下能くこれと
争うなし。
○老子の原文
江海所以能為百谷王者、以其善下之。
故能為百谷王。
是以欲上民、必以言下之。
欲先民、必以身後之。
是以聖人処上而民不重、処前而民不害。
是以天下楽推而不厭。
以其不争、故天下莫能与之争。
集団に指示しようとすれば、その集団の目
線に下りる。
だからうまく行動させられる。
指示は全体にいきわたるような分かりやす
い言葉を使う。
集団から取り残されたものがいないか、よ
く確認する。
そして集団と一体になって行動を共にする。
だから集団は指示に従うのだ。
そんな集団とは誰も争わない。
○老子の読み下し文
江海の能く百谷の王たる所以の者は、その
能くこれに下るを以てなり。
故に能く百谷の王なり。
ここを以て、民に上たらんと欲すれば、必
ず言を以てこれに下る。
民に先んぜんと欲すれば、必ず身を以てこ
れに後(おく)る。
ここを以て聖人は、上に処(お)りて民重し
とせず、前に処りて民害とせず。
ここを以て天下、推(お)すを楽しんで厭(い
と)わず。
その争わざるを以て、故に天下能くこれと
争うなし。
○老子の原文
江海所以能為百谷王者、以其善下之。
故能為百谷王。
是以欲上民、必以言下之。
欲先民、必以身後之。
是以聖人処上而民不重、処前而民不害。
是以天下楽推而不厭。
以其不争、故天下莫能与之争。
2013年7月24日水曜日
65.行動基準
○老子の原文を道具として解釈したもの
人を手本にはしない。
人からは影響を受けない。
人の情報に左右されると混乱する。
だから、人の情報だけで行動はできない。
自分で確認して行動するほうがいい。
情報と確認は切り離せない。
これをふまえて行動する。
行動は慎重に、よく見極めること。
人とは違った行動になっても結果が悪いと
は限らない。
○老子の読み下し文
古えの善く道をおさめし者は、以て民を明
にするにあらず。
まさに以てこれを愚にせんとす。
民の治め難きは、その智多きを以てなり。
故に智を以て国を治むるは、国の賊。
智を以て国を治めざるは、国の福。
この両者を知るも、また稽式(けいしき)な
り。
常に稽式を知る、これを玄徳と言う。
玄徳は深いかな、遠いかな。
物と反すれども、しかる後にすなわち大順
に至る。
○老子の原文
古之善為道者、非以明民。
将以愚之。
民之難治、以其智多。
故以智治国、国之賊。
不以智治国、国之福。
知此両者、亦稽式。
常知稽式、是謂玄徳。
玄徳深矣遠矣。
与物反矣、然後及至大順。
人を手本にはしない。
人からは影響を受けない。
人の情報に左右されると混乱する。
だから、人の情報だけで行動はできない。
自分で確認して行動するほうがいい。
情報と確認は切り離せない。
これをふまえて行動する。
行動は慎重に、よく見極めること。
人とは違った行動になっても結果が悪いと
は限らない。
○老子の読み下し文
古えの善く道をおさめし者は、以て民を明
にするにあらず。
まさに以てこれを愚にせんとす。
民の治め難きは、その智多きを以てなり。
故に智を以て国を治むるは、国の賊。
智を以て国を治めざるは、国の福。
この両者を知るも、また稽式(けいしき)な
り。
常に稽式を知る、これを玄徳と言う。
玄徳は深いかな、遠いかな。
物と反すれども、しかる後にすなわち大順
に至る。
○老子の原文
古之善為道者、非以明民。
将以愚之。
民之難治、以其智多。
故以智治国、国之賊。
不以智治国、国之福。
知此両者、亦稽式。
常知稽式、是謂玄徳。
玄徳深矣遠矣。
与物反矣、然後及至大順。
2013年7月23日火曜日
64.違う視点
○老子の原文を道具として解釈したもの
楽にしていれば持続し、変化を見せなけれ
ば企みがあり、動揺していれば別れ、ひっそ
りしていれば逃げていく。
動きがないときに行動し、動き出したら止
まる。
木は土の中から生長し、塔は平らな場所に
建ち、歩くときに両足は別れる。
これに対応すればうまくいき、無理に行動
すれば失敗する。
よく観察すること。
無駄な行動はしないこと。
普通は災いがひどくなって慌てる。
後々どうなるかを考えれば、すぐに実行で
きる。
そして、必要なことはするが、誘いにはの
らない。
他とは違う視点で考え、度をこさないよう
にする。
自然の流れにのって逆らわない。
○老子の読み下し文
その安きは持し易く、そのいまだ兆さざる
は謀り易く、その脆(もろ)きは判(わか)ち易
く、その微なるは散らし易し。
これをいまだあらざるになし、これをいま
だ乱れざるに治む。
合抱(ごうほう)の木は、毫末(ごうまつ)に
生じ、九層の台は、累土(るいど)に起こり、
千里の行は、足下に始まる。
なす者はこれを敗り、執(と)る者はこれを
失う。
ここを以て聖人は、なすことなきが故に敗
るることなし。
執ることなきが故に失うことなし。
民の事に従うや、常に幾(ほと)んど成らん
とするにおいてこれを敗る。
終りを慎むこと始めの如くんば、すなわち
事を敗ることなし。
ここを以て聖人は、欲せざるを欲して、得
難きの貨を貴ばず。
学ばざるを学んで、衆人の過(あやま)つ所
を復す。
以て万物の自然を輔(たす)けて、あえてな
さず。
○老子の原文
其安易持、其未兆易謀、其脆易判、
其微易散。
為之於未有、治之於未乱。
合抱之木、生於毫末、九層之台、起於累土、
千里之行、始於足下。
為者敗之、執者失之。
是以聖人無為故無敗。
無執故無失。
民之従事、常為幾成而敗之。
慎終如始、則無敗事。
是以聖人欲不欲、不貴難得之貨。
学不学、復衆人之所過。
以輔万物之自然、而不敢為。
楽にしていれば持続し、変化を見せなけれ
ば企みがあり、動揺していれば別れ、ひっそ
りしていれば逃げていく。
動きがないときに行動し、動き出したら止
まる。
木は土の中から生長し、塔は平らな場所に
建ち、歩くときに両足は別れる。
これに対応すればうまくいき、無理に行動
すれば失敗する。
よく観察すること。
無駄な行動はしないこと。
普通は災いがひどくなって慌てる。
後々どうなるかを考えれば、すぐに実行で
きる。
そして、必要なことはするが、誘いにはの
らない。
他とは違う視点で考え、度をこさないよう
にする。
自然の流れにのって逆らわない。
○老子の読み下し文
その安きは持し易く、そのいまだ兆さざる
は謀り易く、その脆(もろ)きは判(わか)ち易
く、その微なるは散らし易し。
これをいまだあらざるになし、これをいま
だ乱れざるに治む。
合抱(ごうほう)の木は、毫末(ごうまつ)に
生じ、九層の台は、累土(るいど)に起こり、
千里の行は、足下に始まる。
なす者はこれを敗り、執(と)る者はこれを
失う。
ここを以て聖人は、なすことなきが故に敗
るることなし。
執ることなきが故に失うことなし。
民の事に従うや、常に幾(ほと)んど成らん
とするにおいてこれを敗る。
終りを慎むこと始めの如くんば、すなわち
事を敗ることなし。
ここを以て聖人は、欲せざるを欲して、得
難きの貨を貴ばず。
学ばざるを学んで、衆人の過(あやま)つ所
を復す。
以て万物の自然を輔(たす)けて、あえてな
さず。
○老子の原文
其安易持、其未兆易謀、其脆易判、
其微易散。
為之於未有、治之於未乱。
合抱之木、生於毫末、九層之台、起於累土、
千里之行、始於足下。
為者敗之、執者失之。
是以聖人無為故無敗。
無執故無失。
民之従事、常為幾成而敗之。
慎終如始、則無敗事。
是以聖人欲不欲、不貴難得之貨。
学不学、復衆人之所過。
以輔万物之自然、而不敢為。
2013年7月22日月曜日
63.些細
○老子の原文を道具として解釈したもの
誰にも出来ないことをやり、正常な時に用
心し、利益にならないこともする。
ささいなことは見落としがち、たいしたこ
とがないのは重大なこと、救いを求められれ
ば助ける。
難しければ分担し、大きければ細かくする。
難しいことは簡単なものからでき、大きい
ものは小さなものからできている。
小さなことの積み重ねが大きなことになる。
簡単なことは利益が少なく、楽になれば人
手が余る。
だから誰もやろうとしないので、あえてや
るのだ。
やれば無駄がなくなる。
○老子の読み下し文
無為をなし、無事を事とし、無味を味わう。
小を大とし少を多とし、怨みに報いるに徳
を以てす。
難をその易に図り、大をその細になす。
天下の難事は、必ず易より作(おこ)り、天
下の大事は、必ず細より作る。
ここを以て聖人は終(つい)に大をなさず、
故に能くその大をなす。
それ軽諾(けいだく)は必ず信すくなく、易
しとすること多ければ、必ず難きこと多し。
ここを以て聖人は、なおこれを難しとす。
故に終に難きことなし。
○老子の原文
為無為、事無事、味無味。
大小多少、報怨以徳。
図難於其易。為大於其細。
天下難事、必作於易、天下大事、必作於細。
是以聖人終不為大、故能成其大。
不軽諾必寡信、多易必多難。
是以聖人猶難之。
故終無難矣。
誰にも出来ないことをやり、正常な時に用
心し、利益にならないこともする。
ささいなことは見落としがち、たいしたこ
とがないのは重大なこと、救いを求められれ
ば助ける。
難しければ分担し、大きければ細かくする。
難しいことは簡単なものからでき、大きい
ものは小さなものからできている。
小さなことの積み重ねが大きなことになる。
簡単なことは利益が少なく、楽になれば人
手が余る。
だから誰もやろうとしないので、あえてや
るのだ。
やれば無駄がなくなる。
○老子の読み下し文
無為をなし、無事を事とし、無味を味わう。
小を大とし少を多とし、怨みに報いるに徳
を以てす。
難をその易に図り、大をその細になす。
天下の難事は、必ず易より作(おこ)り、天
下の大事は、必ず細より作る。
ここを以て聖人は終(つい)に大をなさず、
故に能くその大をなす。
それ軽諾(けいだく)は必ず信すくなく、易
しとすること多ければ、必ず難きこと多し。
ここを以て聖人は、なおこれを難しとす。
故に終に難きことなし。
○老子の原文
為無為、事無事、味無味。
大小多少、報怨以徳。
図難於其易。為大於其細。
天下難事、必作於易、天下大事、必作於細。
是以聖人終不為大、故能成其大。
不軽諾必寡信、多易必多難。
是以聖人猶難之。
故終無難矣。
2013年7月21日日曜日
62.死生力
○老子の原文を道具として解釈したもの
本当に大切なものは隠れている。
それは誰もがほしがるものだ。
上手い話や勇敢な行動は目立つ。
悪い話や卑怯な行動だからといって見逃し
てはいけない。
これは権力や財力、知力を使っても手に入
れることはできず、死生力が必要になる。
死生力はどうすれば得られるのか。
それは自然から学び、自然には悪いことも
含まれていることを知る。
そうまでして手に入れたいものだ。
○老子の読み下し文
道は万物の奥なり。
善人の宝、不善人の保つ所なり。
美言は以て尊を市(か)うべく、美行は以て
人に加わうべし。
人の不善なる、何の棄つることか、これあ
らん。
故に、天子を立て、三公を置くに、拱璧(こ
うへき)を以て駟馬(しば)に先だつありと
いえども、坐してこの道を進むるに如かず。
古のこの道を貴ぶ所以(ゆえん)の者は何ぞ。
求めて以て得られ、罪ありて以て免(まぬ
が)ると言わずや。
故に天下の貴となる。
○老子の原文
道者万物之奥。
善人之宝、不善人之所保。
美言可以市尊、美行可以加人。
人之不善、何棄之有。
故立天子、置三公、雖有拱璧以先駟馬、
不如坐進此道。
古之所以貴此道者何。
不曰求以得、有罪以免耶。
故為天下貴。
本当に大切なものは隠れている。
それは誰もがほしがるものだ。
上手い話や勇敢な行動は目立つ。
悪い話や卑怯な行動だからといって見逃し
てはいけない。
これは権力や財力、知力を使っても手に入
れることはできず、死生力が必要になる。
死生力はどうすれば得られるのか。
それは自然から学び、自然には悪いことも
含まれていることを知る。
そうまでして手に入れたいものだ。
○老子の読み下し文
道は万物の奥なり。
善人の宝、不善人の保つ所なり。
美言は以て尊を市(か)うべく、美行は以て
人に加わうべし。
人の不善なる、何の棄つることか、これあ
らん。
故に、天子を立て、三公を置くに、拱璧(こ
うへき)を以て駟馬(しば)に先だつありと
いえども、坐してこの道を進むるに如かず。
古のこの道を貴ぶ所以(ゆえん)の者は何ぞ。
求めて以て得られ、罪ありて以て免(まぬ
が)ると言わずや。
故に天下の貴となる。
○老子の原文
道者万物之奥。
善人之宝、不善人之所保。
美言可以市尊、美行可以加人。
人之不善、何棄之有。
故立天子、置三公、雖有拱璧以先駟馬、
不如坐進此道。
古之所以貴此道者何。
不曰求以得、有罪以免耶。
故為天下貴。
2013年7月20日土曜日
61.分析
○老子の原文を道具として解釈したもの
情報を集める者が主導権を握る。
情報は混在している。
そして、常に変化する。
情報は分析される。
分析すると答えが見つかる。
多くの情報を細かく分ければ、ささいな違
いも見つけられる。
その蓄積があれば少ない情報でも色々なこ
とが分かり判断できる。
多くの情報から見つけ、少ない情報から判
断する。
情報が多いと、いらないものを含み、情報
が少ないのは全体の中の一部だからだ。
まずは多くの情報を集めることだ。
○老子の読み下し文
大国は下流なり。
天下の交なり。
天下の牝(ひん)なり。
牝は常に静を以て牡に勝つ。
静を以て下ることをなす。
故に、大国以て小国に下れば、則ち小国を
取る。
小国以て大国に下れば、則ち大国に取らる。
故に、或いは下りて以て取り、或いは下り
てしかして取らる。
大国は人を兼ね畜(やしな)わんと欲するに
過ぎず、小国は入りて人に事(つか)えんと欲
するに過ぎず。
それ両者、各々その欲するところを得んと
ならば、大いなる者よろしく下ることをなす
べし。
○老子の原文
大国者下流。
天下之交。
天下之牝。
牝常以静勝牡。
以静為下。
故大国以下小国、則取小国。
小国以下大国、則取於大国。
故或下以取、或下而取。
大国不過欲兼畜人、小国不過欲入事人。
不両者各得其所欲、大者宜為下。
情報を集める者が主導権を握る。
情報は混在している。
そして、常に変化する。
情報は分析される。
分析すると答えが見つかる。
多くの情報を細かく分ければ、ささいな違
いも見つけられる。
その蓄積があれば少ない情報でも色々なこ
とが分かり判断できる。
多くの情報から見つけ、少ない情報から判
断する。
情報が多いと、いらないものを含み、情報
が少ないのは全体の中の一部だからだ。
まずは多くの情報を集めることだ。
○老子の読み下し文
大国は下流なり。
天下の交なり。
天下の牝(ひん)なり。
牝は常に静を以て牡に勝つ。
静を以て下ることをなす。
故に、大国以て小国に下れば、則ち小国を
取る。
小国以て大国に下れば、則ち大国に取らる。
故に、或いは下りて以て取り、或いは下り
てしかして取らる。
大国は人を兼ね畜(やしな)わんと欲するに
過ぎず、小国は入りて人に事(つか)えんと欲
するに過ぎず。
それ両者、各々その欲するところを得んと
ならば、大いなる者よろしく下ることをなす
べし。
○老子の原文
大国者下流。
天下之交。
天下之牝。
牝常以静勝牡。
以静為下。
故大国以下小国、則取小国。
小国以下大国、則取於大国。
故或下以取、或下而取。
大国不過欲兼畜人、小国不過欲入事人。
不両者各得其所欲、大者宜為下。
2013年7月19日金曜日
60.察知
○老子の原文を道具として解釈したもの
混乱は防がなければいけない。
自然に逆らわなければ災いにならない。
災いが起きてもそれを利用することさえで
きる。
周りから不満も起きなくなる。
だから混乱せず、利益さえ得られるのだ。
○老子の読み下し文
大国を治むるは、小鮮を烹(に)るがごとし。
道を以て天下に涖(のぞ)めば、その鬼、神
ならず。
その鬼、神ならざるにあらず、その神、人
を傷(そこな)わず。
その神、人を傷わざるにはあらず、聖人も
また人を傷わず。
それ両(ふた)つながら相傷わず、故に徳、
交々(こもごも)帰す。
○老子の原文
治大国、若烹小鮮。
以道涖天下、其鬼不神。
非其鬼不神、其神不傷人。
非其神不傷人、聖人亦不傷人。
夫両不相傷、故徳交帰焉。
混乱は防がなければいけない。
自然に逆らわなければ災いにならない。
災いが起きてもそれを利用することさえで
きる。
周りから不満も起きなくなる。
だから混乱せず、利益さえ得られるのだ。
○老子の読み下し文
大国を治むるは、小鮮を烹(に)るがごとし。
道を以て天下に涖(のぞ)めば、その鬼、神
ならず。
その鬼、神ならざるにあらず、その神、人
を傷(そこな)わず。
その神、人を傷わざるにはあらず、聖人も
また人を傷わず。
それ両(ふた)つながら相傷わず、故に徳、
交々(こもごも)帰す。
○老子の原文
治大国、若烹小鮮。
以道涖天下、其鬼不神。
非其鬼不神、其神不傷人。
非其神不傷人、聖人亦不傷人。
夫両不相傷、故徳交帰焉。
2013年7月18日木曜日
59.未完
○老子の原文を道具として解釈したもの
完璧を求めない。
完璧ではないから反省できる。
反省をかさねて新しい発想を身につける。
新しい発想で他に差をつけることができる。
他に差をつけると限りなく使われる。
限りなく使われるから廃れることがない。
完璧を求めなければ長く役に立つことにな
る。
自然は完璧ではないから限りがないのだ。
○老子の読み下し文
人を治め天に事(つか)うるは、嗇(しょ
く)に若(し)くはなし。
それただ嗇、これを早く服すと言う。
早く服する、これを重ねて徳を積むと言う。
重ねて徳を積めば、則ち克(か)たざるなし。
克たざるなければ、則ちその極を知るなし。
その極を知るなければ、以て国を有(たも)
つべし。
国を有つの母は、以て長久なるべし。
これを深根固柢(しんこんこてい)、長生
久視(ちょうせいきゅうし)の道と言う。
○老子の原文
治人事天、莫若嗇。
夫唯嗇、是謂早服。
早服、謂之重積徳。
重積徳、則無夫克。
無不克、則莫知其極。
莫知其極、可以有国。
有国之母、可以長久。
是謂深根固柢、長生久視之道。
完璧を求めない。
完璧ではないから反省できる。
反省をかさねて新しい発想を身につける。
新しい発想で他に差をつけることができる。
他に差をつけると限りなく使われる。
限りなく使われるから廃れることがない。
完璧を求めなければ長く役に立つことにな
る。
自然は完璧ではないから限りがないのだ。
○老子の読み下し文
人を治め天に事(つか)うるは、嗇(しょ
く)に若(し)くはなし。
それただ嗇、これを早く服すと言う。
早く服する、これを重ねて徳を積むと言う。
重ねて徳を積めば、則ち克(か)たざるなし。
克たざるなければ、則ちその極を知るなし。
その極を知るなければ、以て国を有(たも)
つべし。
国を有つの母は、以て長久なるべし。
これを深根固柢(しんこんこてい)、長生
久視(ちょうせいきゅうし)の道と言う。
○老子の原文
治人事天、莫若嗇。
夫唯嗇、是謂早服。
早服、謂之重積徳。
重積徳、則無夫克。
無不克、則莫知其極。
莫知其極、可以有国。
有国之母、可以長久。
是謂深根固柢、長生久視之道。
2013年7月17日水曜日
58.放任
○老子の原文を道具として解釈したもの
困っていれば助けられる。
警戒心が強くなれば失いやすい。
災いから利益が生まれる。
利益の中にも災いがある。
どちらが良いとは言えない。
正しいとも言えない。
状況は常に変化する。
戸惑うのが普通だ。
だから、決めつけず、追いやらず、押し付
けず、明らかにしないこと。
○老子の読み下し文
その政、悶々たれば、その民、淳々たり。
その政、察々たれば、その民、欠々たり。
禍か福の倚(よ)る所。
福か禍の伏す所。
孰(だれ)かその極を知らん。
それ正なし。
正また奇となり、善また妖となる。
人の迷うや、その日もとより久し。
ここを以て聖人は、方にして割かず、廉に
して刺さず、直にして肆(し)ならず、光あり
て燿(かがや)かさず。
○老子の原文
其政悶悶、其民淳淳。
其政察察、其民欠欠。
禍兮福倚。
福兮禍所伏。
孰知其極。
其無正。
正復為奇、善復為妖。
人之迷、其日固久。
是以聖人方而不割、廉而不刺、直而不肆、
光而不燿。
困っていれば助けられる。
警戒心が強くなれば失いやすい。
災いから利益が生まれる。
利益の中にも災いがある。
どちらが良いとは言えない。
正しいとも言えない。
状況は常に変化する。
戸惑うのが普通だ。
だから、決めつけず、追いやらず、押し付
けず、明らかにしないこと。
○老子の読み下し文
その政、悶々たれば、その民、淳々たり。
その政、察々たれば、その民、欠々たり。
禍か福の倚(よ)る所。
福か禍の伏す所。
孰(だれ)かその極を知らん。
それ正なし。
正また奇となり、善また妖となる。
人の迷うや、その日もとより久し。
ここを以て聖人は、方にして割かず、廉に
して刺さず、直にして肆(し)ならず、光あり
て燿(かがや)かさず。
○老子の原文
其政悶悶、其民淳淳。
其政察察、其民欠欠。
禍兮福倚。
福兮禍所伏。
孰知其極。
其無正。
正復為奇、善復為妖。
人之迷、其日固久。
是以聖人方而不割、廉而不刺、直而不肆、
光而不燿。
2013年7月16日火曜日
57.簡易
○老子の原文を道具として解釈したもの
周りに理解されて存在し、他にないから使
われて役に立ち、やがて広まる。
これが自然の流れだ。
利益を独占すると発展しなくなる。
使い方が理解できないモノは混乱する。
手に入れにくいモノは真似され、悪いモノ
が増える。
伝えることが多くなれば間違えも多くなる。
だから、欲張らなければ新たなモノが生ま
れ、単純にすれば分かりやすく、行き渡るよ
うにすれば喜ばれ、要点だけ分かれば工夫す
る。
○老子の読み下し文
正を以て国を治め、奇を以て兵を用い、無
事を以て天下を取る。
吾何を以てその然るを知るや、ここを以て
す。
天下に忌諱(きい)多くして、民いよいよ貧
し。
民に利器多くして、国家ますます昏(くら)
し。
人に技巧多くして、奇物ますます起こる。
法令ますます彰かにして、盗賊多くあり。
故に聖人は言う。
我無為にして民自ら化し、我静を好みて民
自ら正しく、我無事にして民自ら富み、我無
欲にして民自ら樸なり。
○老子の原文
以正治国、以奇用兵、以無事取天下。
吾何以知其然哉、以此。
天下多忌諱、而民弥貧。
民多利器、国家滋昏。
人多伎巧、奇物滋起。
法令滋彰、盜賊多有。
故聖人云。
我無為而民自化、我好静而民自正、
我無事而民自富、我無欲而民樸。
周りに理解されて存在し、他にないから使
われて役に立ち、やがて広まる。
これが自然の流れだ。
利益を独占すると発展しなくなる。
使い方が理解できないモノは混乱する。
手に入れにくいモノは真似され、悪いモノ
が増える。
伝えることが多くなれば間違えも多くなる。
だから、欲張らなければ新たなモノが生ま
れ、単純にすれば分かりやすく、行き渡るよ
うにすれば喜ばれ、要点だけ分かれば工夫す
る。
○老子の読み下し文
正を以て国を治め、奇を以て兵を用い、無
事を以て天下を取る。
吾何を以てその然るを知るや、ここを以て
す。
天下に忌諱(きい)多くして、民いよいよ貧
し。
民に利器多くして、国家ますます昏(くら)
し。
人に技巧多くして、奇物ますます起こる。
法令ますます彰かにして、盗賊多くあり。
故に聖人は言う。
我無為にして民自ら化し、我静を好みて民
自ら正しく、我無事にして民自ら富み、我無
欲にして民自ら樸なり。
○老子の原文
以正治国、以奇用兵、以無事取天下。
吾何以知其然哉、以此。
天下多忌諱、而民弥貧。
民多利器、国家滋昏。
人多伎巧、奇物滋起。
法令滋彰、盜賊多有。
故聖人云。
我無為而民自化、我好静而民自正、
我無事而民自富、我無欲而民樸。
2013年7月15日月曜日
56.地味
○老子の原文を道具として解釈したもの
知恵があれば態度で示し、知恵がなければ
言い訳する。
すべての情報を閉ざし、危険を避け、争い
を防ぎ、身をひそめて目立つことはしない。
これで他と同化できる。
だから近くにいても分からない。
そんなものからは利益は得られないし、盗
むこともできない。
役に立つとは思えないし、害にもならない。
だから信頼されるのだ。
○老子の読み下し文
知る者は言わず、言う者は知らず。
その兌(あな)を塞(ふさ)ぎ、その門を閉ざ
し、その鋭を挫(くじ)き、その紛を解き、そ
の光を和らげ、その塵(よご)れに同じくす。
これを玄同と言う。
故に、得て親しむべからず、得て疎(うとん)
ずべからず。
得て利すべからず、得て害すべからず、得
て貴ぶべからず、得て賤しむべからず。
故に天下の貴となる。
○老子の原文
知者不言、言者不知。
塞其兌、閉其門、挫其鋭、解其紛、和其光、
同其塵。
是謂玄同。
故不可得而親、不可得而疎。
不可得而利、不可得而害。
不可得而貴、不可得而賤。
故為天下貴。
知恵があれば態度で示し、知恵がなければ
言い訳する。
すべての情報を閉ざし、危険を避け、争い
を防ぎ、身をひそめて目立つことはしない。
これで他と同化できる。
だから近くにいても分からない。
そんなものからは利益は得られないし、盗
むこともできない。
役に立つとは思えないし、害にもならない。
だから信頼されるのだ。
○老子の読み下し文
知る者は言わず、言う者は知らず。
その兌(あな)を塞(ふさ)ぎ、その門を閉ざ
し、その鋭を挫(くじ)き、その紛を解き、そ
の光を和らげ、その塵(よご)れに同じくす。
これを玄同と言う。
故に、得て親しむべからず、得て疎(うとん)
ずべからず。
得て利すべからず、得て害すべからず、得
て貴ぶべからず、得て賤しむべからず。
故に天下の貴となる。
○老子の原文
知者不言、言者不知。
塞其兌、閉其門、挫其鋭、解其紛、和其光、
同其塵。
是謂玄同。
故不可得而親、不可得而疎。
不可得而利、不可得而害。
不可得而貴、不可得而賤。
故為天下貴。
2013年7月14日日曜日
55.幼稚
○老子の原文を道具として解釈したもの
生まれたては守られる。
どんな生き物も自分の子孫は守ろうとする。
生まれたばかりのときは、自然に身を任せ
る。
だけど生きるための能力は備わっている。
だから育てられる方法を知っている。
その方法が生命力であり、精神力になる。
生命力はどうすることもできないが、精神
力は鍛えられる。
これらには寿命がある。
どうすることもできない。
無理をすれば失う。
○老子の読み下し文
徳を含むことの厚きは、赤子に比す。
蜂、タイ、キ蛇(だ)も螫(さ)さず、猛獣も
據(つか)まず、攫(かく)鳥(ちょう)も搏(う)
たず。
骨弱くし筋柔らかくして握ること固し。
いまだ牝牡(ひんぼ)の合を知らずして、さ
い作(た)つは、精の至りなり。
終日ないて嗄(こえか)れざるは、和の至り
なり。
和を知るを常と言い、常を知るを明と言う。
生を益すを祥(わざわい)と言い、心気を使
うを強と言う。
物は壮なれば、すなわち老ゆ。
これを不道と言う。
不道は早く已(や)む。
○老子の原文
含徳之厚、比於赤子。
蜂タイキ蛇不螫、猛獣不據、攫鳥不搏。
骨弱筋柔而握固。
未知牝牡之合而サイ作、精之至也。
終日号而不嗄、和之至也。
知和曰常、知常曰明、益生曰祥、心使気曰強。
物壮則老。
謂之不道。
不道早已。
生まれたては守られる。
どんな生き物も自分の子孫は守ろうとする。
生まれたばかりのときは、自然に身を任せ
る。
だけど生きるための能力は備わっている。
だから育てられる方法を知っている。
その方法が生命力であり、精神力になる。
生命力はどうすることもできないが、精神
力は鍛えられる。
これらには寿命がある。
どうすることもできない。
無理をすれば失う。
○老子の読み下し文
徳を含むことの厚きは、赤子に比す。
蜂、タイ、キ蛇(だ)も螫(さ)さず、猛獣も
據(つか)まず、攫(かく)鳥(ちょう)も搏(う)
たず。
骨弱くし筋柔らかくして握ること固し。
いまだ牝牡(ひんぼ)の合を知らずして、さ
い作(た)つは、精の至りなり。
終日ないて嗄(こえか)れざるは、和の至り
なり。
和を知るを常と言い、常を知るを明と言う。
生を益すを祥(わざわい)と言い、心気を使
うを強と言う。
物は壮なれば、すなわち老ゆ。
これを不道と言う。
不道は早く已(や)む。
○老子の原文
含徳之厚、比於赤子。
蜂タイキ蛇不螫、猛獣不據、攫鳥不搏。
骨弱筋柔而握固。
未知牝牡之合而サイ作、精之至也。
終日号而不嗄、和之至也。
知和曰常、知常曰明、益生曰祥、心使気曰強。
物壮則老。
謂之不道。
不道早已。
2013年7月13日土曜日
54.樹を観る
○老子の原文を道具として解釈したもの
木の根が張っていれば倒れにくい。
木の中に殖える能力があり、どこからでも
成長する。
だから世話をしなくても絶えることがない。
この力があれば耐えられる。
この知恵があれば利益が得られる。
これを継承できれば長続きする。
これを守れば災いを防ぐことができる。
これを広めれば争うことはない。
これがそれぞれ実現できているかを調べる。
そうすれば世の中のことが分かる。
手本は身近にある。
○老子の読み下し文
善く建つ者は抜けず。
善く抱く者は脱(お)ちず。
子孫以て祭祀して輟(や)まず。
これを身に修むれば、その徳すなわち真な
り。
これを家に修むれば、その徳すなわち余り。
これを郷に修むれば、その徳すなわち長く。
これを邦(くに)に修むれば、その徳すなわ
ち豊かなり。
これを天下に修むれば、その徳すなわち普
(あまね)し。
故に、身を以て身を観、家を以て家を観、
郷を以て郷を観、邦を以て邦を観、天下を以
て天下を観る。
吾、何を以てか天下の然るを知るや。
これを以てす。
○老子の原文
善建者不抜。
善抱者不脱。
子孫以祭祀不輟。
修之於身、其徳乃真。
修之於家、其徳乃余。
修之於郷、其徳乃長。
修之於邦、其徳乃豊。
修之於天下、其徳乃普。
故以身観身、以家観家、以郷観郷、
以邦観邦、以天下観天下。
吾何以知天下然哉。
以此。
木の根が張っていれば倒れにくい。
木の中に殖える能力があり、どこからでも
成長する。
だから世話をしなくても絶えることがない。
この力があれば耐えられる。
この知恵があれば利益が得られる。
これを継承できれば長続きする。
これを守れば災いを防ぐことができる。
これを広めれば争うことはない。
これがそれぞれ実現できているかを調べる。
そうすれば世の中のことが分かる。
手本は身近にある。
○老子の読み下し文
善く建つ者は抜けず。
善く抱く者は脱(お)ちず。
子孫以て祭祀して輟(や)まず。
これを身に修むれば、その徳すなわち真な
り。
これを家に修むれば、その徳すなわち余り。
これを郷に修むれば、その徳すなわち長く。
これを邦(くに)に修むれば、その徳すなわ
ち豊かなり。
これを天下に修むれば、その徳すなわち普
(あまね)し。
故に、身を以て身を観、家を以て家を観、
郷を以て郷を観、邦を以て邦を観、天下を以
て天下を観る。
吾、何を以てか天下の然るを知るや。
これを以てす。
○老子の原文
善建者不抜。
善抱者不脱。
子孫以祭祀不輟。
修之於身、其徳乃真。
修之於家、其徳乃余。
修之於郷、其徳乃長。
修之於邦、其徳乃豊。
修之於天下、其徳乃普。
故以身観身、以家観家、以郷観郷、
以邦観邦、以天下観天下。
吾何以知天下然哉。
以此。
2013年7月12日金曜日
53.苦楽
○老子の原文を道具として解釈したもの
目標を達成することは難しい。
目標が簡単なことでも努力をしない。
目先の楽なことにとらわれて、辛いことを
後回しにする。
自分のことには関心をもち、利益を求め、
楽しみ、豊かになることを望む。
これらは世の中の利益にならない。
だから乱れている。
○老子の読み下し文
我をして介然(かいぜん)として、知あらし
むれば、大道を行きて、ただ施(よこしま)な
るをこれ畏(おそ)れん。
大道は甚(はなは)だ夷(たいら)かなるに、
民は径(こみち)を好む。
朝は甚だ除(きよ)められ、田は甚だ蕪(あ)
れ、倉は甚だ虚しき。
文綵(ぶんさい)を服し、利剣を帯び、飲食
に厭(あ)き、財貨余りあり。
これを盗夸(とうこ)と言う。
道に非ざるかな。
○老子の原文
使我介然有知、行於大道、唯施是畏。
大道甚夷、而民好径。
朝甚除、田甚蕪、倉甚虚。
服文綵、帯利剣、厭飲食、財貨有余。
是謂盜夸。
非道也哉。
目標を達成することは難しい。
目標が簡単なことでも努力をしない。
目先の楽なことにとらわれて、辛いことを
後回しにする。
自分のことには関心をもち、利益を求め、
楽しみ、豊かになることを望む。
これらは世の中の利益にならない。
だから乱れている。
○老子の読み下し文
我をして介然(かいぜん)として、知あらし
むれば、大道を行きて、ただ施(よこしま)な
るをこれ畏(おそ)れん。
大道は甚(はなは)だ夷(たいら)かなるに、
民は径(こみち)を好む。
朝は甚だ除(きよ)められ、田は甚だ蕪(あ)
れ、倉は甚だ虚しき。
文綵(ぶんさい)を服し、利剣を帯び、飲食
に厭(あ)き、財貨余りあり。
これを盗夸(とうこ)と言う。
道に非ざるかな。
○老子の原文
使我介然有知、行於大道、唯施是畏。
大道甚夷、而民好径。
朝甚除、田甚蕪、倉甚虚。
服文綵、帯利剣、厭飲食、財貨有余。
是謂盜夸。
非道也哉。
2013年7月11日木曜日
52.目標
○老子の原文を道具として解釈したもの
この世も生み出されたものだ。
その存在を知り、後に伝え、それを発展さ
せ、また後に伝えていけば災いは防げる。
この世の成り行きから外れなければ混乱は
ない。
外れた行動をすれば災いがふりかかる。
ささいな事を見落とさず臨機応変に行動す
る。
災いになる前に対応すれば災いをなくすこ
とができる。
日頃から情報を得ることだ。
○老子の読み下し文
天下に始めあり、以て天下の母となす。
既にその母を得て、またその子を知り、既
にその子を知り、またその母を守れば、身を
没するまで殆うからず。
その兌(あな)を塞(ふさ)ぎ、その門を閉ざ
せば、身を終うるまで勤(つか)れず。
その兌を開き、その事を済(な)せば、身を
終うるまで救われず、小を見るを明と言い、
柔を守るを強と言う。
その光を用いて、その明に復帰すれば、身
の殃(わざわい)を遺すなし。
これを常の習いと言う。
○ 老子の原文
天下有始、以為天下母。
既得其母、復知其子、既知其子、復守其母、
没身不殆。
塞其兌、閉其門、終身不勤。
開其兌、済其事、終身不救。
見小曰明、守柔曰強。
用其光、復帰其明、無遺身殃。
是謂習常。
この世も生み出されたものだ。
その存在を知り、後に伝え、それを発展さ
せ、また後に伝えていけば災いは防げる。
この世の成り行きから外れなければ混乱は
ない。
外れた行動をすれば災いがふりかかる。
ささいな事を見落とさず臨機応変に行動す
る。
災いになる前に対応すれば災いをなくすこ
とができる。
日頃から情報を得ることだ。
○老子の読み下し文
天下に始めあり、以て天下の母となす。
既にその母を得て、またその子を知り、既
にその子を知り、またその母を守れば、身を
没するまで殆うからず。
その兌(あな)を塞(ふさ)ぎ、その門を閉ざ
せば、身を終うるまで勤(つか)れず。
その兌を開き、その事を済(な)せば、身を
終うるまで救われず、小を見るを明と言い、
柔を守るを強と言う。
その光を用いて、その明に復帰すれば、身
の殃(わざわい)を遺すなし。
これを常の習いと言う。
○ 老子の原文
天下有始、以為天下母。
既得其母、復知其子、既知其子、復守其母、
没身不殆。
塞其兌、閉其門、終身不勤。
開其兌、済其事、終身不救。
見小曰明、守柔曰強。
用其光、復帰其明、無遺身殃。
是謂習常。
2013年7月10日水曜日
51.順序
○老子の原文を道具として解釈したもの
新しく考え出されたものは検討され、形と
なり、役に立てられる。
新しく考え出し検討することが重要だ。
これらは自然を参考にしたものになる。
だから自然の営みと同じような手順を経た
ものだけが残る。
決して独占したり、押し付けたり、他のも
のを排除したりしない。
これが最善の方法だ。
○老子の読み下し文
道、これを生じ、徳、これを畜(やしな)い、
物、これを形づくり、勢、これを成す。
ここを以て万物は道を尊びて徳を貴ばざる
はなし。
道の尊きと徳の尊きは、これを命ずるなく
して、常に自然なり。
故に、道はこれを生じ、徳はこれを畜い、
これを長じ、これを育て、これを亭(さだ)め、
これを毒(あつ)くし、これを養い、これを覆
う。
生ずるも有とせず、なすも恃まず、長ずる
も宰たらず。
これを玄徳と言う。
○老子の原文
道生之、徳畜之、物形之、勢成之。
是以万物莫不尊道事貴徳。
道之尊、徳之貴、夫莫之命、常自然。
故道生之、徳畜之、長之育之、亭之毒之、
養之覆之。
生而不有、為而不恃、長而不宰。
是謂玄徳。
新しく考え出されたものは検討され、形と
なり、役に立てられる。
新しく考え出し検討することが重要だ。
これらは自然を参考にしたものになる。
だから自然の営みと同じような手順を経た
ものだけが残る。
決して独占したり、押し付けたり、他のも
のを排除したりしない。
これが最善の方法だ。
○老子の読み下し文
道、これを生じ、徳、これを畜(やしな)い、
物、これを形づくり、勢、これを成す。
ここを以て万物は道を尊びて徳を貴ばざる
はなし。
道の尊きと徳の尊きは、これを命ずるなく
して、常に自然なり。
故に、道はこれを生じ、徳はこれを畜い、
これを長じ、これを育て、これを亭(さだ)め、
これを毒(あつ)くし、これを養い、これを覆
う。
生ずるも有とせず、なすも恃まず、長ずる
も宰たらず。
これを玄徳と言う。
○老子の原文
道生之、徳畜之、物形之、勢成之。
是以万物莫不尊道事貴徳。
道之尊、徳之貴、夫莫之命、常自然。
故道生之、徳畜之、長之育之、亭之毒之、
養之覆之。
生而不有、為而不恃、長而不宰。
是謂玄徳。
2013年7月9日火曜日
50.死
○老子の原文を道具として解釈したもの
生まれたものは死ぬ。
寿命で死ぬもの、途中で死ぬもの、自分か
ら死ぬものがある。
どうしてか。
肉体的な死と精神的な死があるからだ。
死を怖がらないものには、死を怖がるもの
は近づかない。
どうしてか。
肉体は死にやすく、精神は死を知っている
からだ。
○老子の読み下し文
生を出でて死に入る。
生の徒は十に三あり、死の徒も十に三あり、
人の生、動いて死地にゆくも、また十に三あ
り。
それ何の故ぞ。
その生を生とすることの厚きを以てなり。
蓋(けだ)し聞く、善く生を摂する者は、陸
行して「ジ虎(こ)」に遇わず、軍に入りて甲
兵を被らず。
「ジ」もその角を投ずる所なく、虎もその
爪を措(お)く所なく、兵もその刃を容るる所
なし。
それ何の故ぞ。
その死地なきを以てなり。
○老子の原文
出生入死。
生之徒十有三、死之徒十有三、人之生動之死地、
亦十有三。
夫何故。
以其生生之厚。
蓋聞、善摂生者、陸行不遇ジ虎、入軍不被甲兵。
ジ無所投其角、虎無所措其爪、兵無所容其刃。
夫何故。
以其無死地。
生まれたものは死ぬ。
寿命で死ぬもの、途中で死ぬもの、自分か
ら死ぬものがある。
どうしてか。
肉体的な死と精神的な死があるからだ。
死を怖がらないものには、死を怖がるもの
は近づかない。
どうしてか。
肉体は死にやすく、精神は死を知っている
からだ。
○老子の読み下し文
生を出でて死に入る。
生の徒は十に三あり、死の徒も十に三あり、
人の生、動いて死地にゆくも、また十に三あ
り。
それ何の故ぞ。
その生を生とすることの厚きを以てなり。
蓋(けだ)し聞く、善く生を摂する者は、陸
行して「ジ虎(こ)」に遇わず、軍に入りて甲
兵を被らず。
「ジ」もその角を投ずる所なく、虎もその
爪を措(お)く所なく、兵もその刃を容るる所
なし。
それ何の故ぞ。
その死地なきを以てなり。
○老子の原文
出生入死。
生之徒十有三、死之徒十有三、人之生動之死地、
亦十有三。
夫何故。
以其生生之厚。
蓋聞、善摂生者、陸行不遇ジ虎、入軍不被甲兵。
ジ無所投其角、虎無所措其爪、兵無所容其刃。
夫何故。
以其無死地。
2013年7月8日月曜日
49.芯を持つ
○老子の原文を道具として解釈したもの
人の心を読み取る。
善にも悪にも得られる教訓はあり、善くす
ることができる。
信じられる事にも疑わしい事にも得られる
情報があり、真実を知ることができる。
まずは受け入れて、固定観念にとらわれな
い。
周りに惑わされず、自分の答えに従う。
○老子の読み下し文
聖人は常の心なく、百姓の心を以て心とな
す。
善なる者は、吾れこれを善とし、不善なる
者も、吾れまたこれを善とすれば、徳は善な
り。
信なる者は、吾れこれを信とし、不信なる
者も、吾れまたこれを信とすれば、徳は信な
り。
聖人の天下に在るや、歙歙(きゅうきゅう)
として、天下のためにその心を渾(こん)にす。
百姓は皆その耳目を注ぐも、聖人は皆これ
を孩(がい)にす。
○老子の原文
聖人無常心、以百姓心為心。
善者吾善之、不善者吾亦善之、徳善。
信者吾信之、不信者吾亦信之、徳信。
聖人在天下歙歙焉、為天下渾其心。
百姓皆注其耳目。聖人皆孩之。
人の心を読み取る。
善にも悪にも得られる教訓はあり、善くす
ることができる。
信じられる事にも疑わしい事にも得られる
情報があり、真実を知ることができる。
まずは受け入れて、固定観念にとらわれな
い。
周りに惑わされず、自分の答えに従う。
○老子の読み下し文
聖人は常の心なく、百姓の心を以て心とな
す。
善なる者は、吾れこれを善とし、不善なる
者も、吾れまたこれを善とすれば、徳は善な
り。
信なる者は、吾れこれを信とし、不信なる
者も、吾れまたこれを信とすれば、徳は信な
り。
聖人の天下に在るや、歙歙(きゅうきゅう)
として、天下のためにその心を渾(こん)にす。
百姓は皆その耳目を注ぐも、聖人は皆これ
を孩(がい)にす。
○老子の原文
聖人無常心、以百姓心為心。
善者吾善之、不善者吾亦善之、徳善。
信者吾信之、不信者吾亦信之、徳信。
聖人在天下歙歙焉、為天下渾其心。
百姓皆注其耳目。聖人皆孩之。
2013年7月7日日曜日
48.一芸
○老子の原文を道具として解釈したもの
総合的なものより専門的なものがよい。
一つのことを極めれば、考えなくても分か
るようになる。
そうすれば、役に立つことができる。
予定を詰め過ぎないことだ。
予定に振回されることになる。
○老子の読み下し文
学をなせば日々に益し、道をなせば日々に
損ず。
これを損じて又損じ、以て無為に至る。
無為にしてなさざるはなし。
天下を取るは、常に事なきを以てす。
その事あるに及びては、以て天下を取るに
足らず。
○老子の原文
為学日益、為道日損。
損之又損、以至於無為。
無為而無不為。
取天下、常以無事。
及其有事、不足以取天下。
総合的なものより専門的なものがよい。
一つのことを極めれば、考えなくても分か
るようになる。
そうすれば、役に立つことができる。
予定を詰め過ぎないことだ。
予定に振回されることになる。
○老子の読み下し文
学をなせば日々に益し、道をなせば日々に
損ず。
これを損じて又損じ、以て無為に至る。
無為にしてなさざるはなし。
天下を取るは、常に事なきを以てす。
その事あるに及びては、以て天下を取るに
足らず。
○老子の原文
為学日益、為道日損。
損之又損、以至於無為。
無為而無不為。
取天下、常以無事。
及其有事、不足以取天下。
2013年7月6日土曜日
47.感性
○老子の原文を道具として解釈したもの
生活に世の中のことは反映する。
身体で季節を感じる。
外からの情報は嘘を含んでいる。
自分の感覚を磨くことが大切だ。
○老子の読み下し文
戸を出でずして天下を知る。
まどを窺(うかが)わずして天道を見る。
その出ずること弥(いよいよ)遠ければ、そ
の知ること弥少なし。
ここを以て聖人は、行かずして知り、見ず
してあきらかにし、なさずして成る。
○老子の原文
不出戸知天下。
不窺マド見天道。
其出弥遠、其知弥少。
是以聖人不行而知、不見而名、不為而成。
生活に世の中のことは反映する。
身体で季節を感じる。
外からの情報は嘘を含んでいる。
自分の感覚を磨くことが大切だ。
○老子の読み下し文
戸を出でずして天下を知る。
まどを窺(うかが)わずして天道を見る。
その出ずること弥(いよいよ)遠ければ、そ
の知ること弥少なし。
ここを以て聖人は、行かずして知り、見ず
してあきらかにし、なさずして成る。
○老子の原文
不出戸知天下。
不窺マド見天道。
其出弥遠、其知弥少。
是以聖人不行而知、不見而名、不為而成。
2013年7月5日金曜日
46.失敗の備え
○老子の原文を道具として解釈したもの
平和なときに災いの準備をする。
災いが起こったときに、準備が生きる。
失うモノは持ちモノより多くはならず、災
難は持ちモノがなければ影響なく、失敗は得
たモノを失うだけだ。
何が起きても失望しないことだ。
○老子の読み下し文
天下に道あれば、走馬を却(しりぞ)けて以
て糞(つちか)う。
天下に道なければ、戎馬(じゅうば)郊に生
ず。
罪は可欲より大なるはなく、禍は足るを知
らざるより大なるはなく、咎は得るを欲する
より大なるはなし。
故に足るを知るの足るは、常に足る。
○老子の原文
天下有道、却走馬以糞。
天下無道、戎馬生於郊。
罪莫大於可欲、禍莫大於不知足、
咎莫大於欲得。
故知足之足、常足矣。
平和なときに災いの準備をする。
災いが起こったときに、準備が生きる。
失うモノは持ちモノより多くはならず、災
難は持ちモノがなければ影響なく、失敗は得
たモノを失うだけだ。
何が起きても失望しないことだ。
○老子の読み下し文
天下に道あれば、走馬を却(しりぞ)けて以
て糞(つちか)う。
天下に道なければ、戎馬(じゅうば)郊に生
ず。
罪は可欲より大なるはなく、禍は足るを知
らざるより大なるはなく、咎は得るを欲する
より大なるはなし。
故に足るを知るの足るは、常に足る。
○老子の原文
天下有道、却走馬以糞。
天下無道、戎馬生於郊。
罪莫大於可欲、禍莫大於不知足、
咎莫大於欲得。
故知足之足、常足矣。
2013年7月4日木曜日
45.見極める
○老子の原文を道具として解釈したもの
成長してもすべてがそろっているわけでは
ないので、補助が必要だ。
力は衰えるので、出しきってはいけない。
立っていたら身を屈め、成功から欠陥を見
つけ、情報の中から除かれたものを探せ。
音を聴きたければ静かにし、光を観たけれ
ば暗くする。
じっとして目標を際立たせればいい。
○老子の読み下し文
大成は欠くるが若く、その用は弊(やぶ)れ
ず。
大盈(だいえい)は沖(むな)しきが若く、そ
の用は窮(きわ)まらず。
大直は屈するが若く、大巧は拙(つた)なき
が若く、大弁は訥(とつ)なるが若し。
躁(そう)は寒に勝ち、静は熱に勝つ。
清静は天下の正たり。
○老子の原文
大成若欠、其用不弊。
大盈若冲、其用不窮。
大直若屈、大巧若拙、大弁若訥。
躁勝寒、静勝熱。
清静為天下正。
成長してもすべてがそろっているわけでは
ないので、補助が必要だ。
力は衰えるので、出しきってはいけない。
立っていたら身を屈め、成功から欠陥を見
つけ、情報の中から除かれたものを探せ。
音を聴きたければ静かにし、光を観たけれ
ば暗くする。
じっとして目標を際立たせればいい。
○老子の読み下し文
大成は欠くるが若く、その用は弊(やぶ)れ
ず。
大盈(だいえい)は沖(むな)しきが若く、そ
の用は窮(きわ)まらず。
大直は屈するが若く、大巧は拙(つた)なき
が若く、大弁は訥(とつ)なるが若し。
躁(そう)は寒に勝ち、静は熱に勝つ。
清静は天下の正たり。
○老子の原文
大成若欠、其用不弊。
大盈若冲、其用不窮。
大直若屈、大巧若拙、大弁若訥。
躁勝寒、静勝熱。
清静為天下正。
2013年7月3日水曜日
44.保持力
○老子の原文を道具として解釈したもの
名前より身体のほうが先にある。
身体より宝物のほうが価値がある。
得るより失うほうが辛い。
だから、身体は衰えるが名前は残り、宝は
失いやすいが身体は残る。
限界を知れば批判されることはなく、あき
らめれば命まで失うことはない。
これで継承することができるのだ。
○老子の読み下し文
名と身と孰(いず)れが親しき。
身と貨と孰れが多なる。
得ると亡うと孰れが病(うれい)ある。
故にはなはだ愛すれば必ず大いに費(つい)
え、多く蔵すれば必ず厚く亡う。
足るを知れば辱しめられず、止まるを知れ
ば殆うからず。
以て長久なるべし。
○老子の原文
名与身孰親。
身与貨孰多。
得与亡孰病。
是故甚愛必大費、多蔵必厚亡。
知足不辱、知止不殆。
可以長久。
名前より身体のほうが先にある。
身体より宝物のほうが価値がある。
得るより失うほうが辛い。
だから、身体は衰えるが名前は残り、宝は
失いやすいが身体は残る。
限界を知れば批判されることはなく、あき
らめれば命まで失うことはない。
これで継承することができるのだ。
○老子の読み下し文
名と身と孰(いず)れが親しき。
身と貨と孰れが多なる。
得ると亡うと孰れが病(うれい)ある。
故にはなはだ愛すれば必ず大いに費(つい)
え、多く蔵すれば必ず厚く亡う。
足るを知れば辱しめられず、止まるを知れ
ば殆うからず。
以て長久なるべし。
○老子の原文
名与身孰親。
身与貨孰多。
得与亡孰病。
是故甚愛必大費、多蔵必厚亡。
知足不辱、知止不殆。
可以長久。
2013年7月2日火曜日
43.女性
○老子の原文を道具として解釈したもの
女性は男性を従わせる。
女性は子供をお腹の中で育てられる。
だから無防備でも平気でいられる。
自ら生み出すものには勝てない。
○老子の読み下し文
天下の至柔(しじゅう)は、天下の至堅(しけ
ん)を馳騁(ちてい)す。
無有は、無間に入る。
吾れここを以て、無為の益有ることを知る。
不言の教、無為の益は、天下これに及ぶこ
と希なり。
○老子の原文
天下之至柔、馳騁天下之至堅。
無有入無間。
吾是以知無為之有益。
不言之教、無為之益、天下希及之。
女性は男性を従わせる。
女性は子供をお腹の中で育てられる。
だから無防備でも平気でいられる。
自ら生み出すものには勝てない。
○老子の読み下し文
天下の至柔(しじゅう)は、天下の至堅(しけ
ん)を馳騁(ちてい)す。
無有は、無間に入る。
吾れここを以て、無為の益有ることを知る。
不言の教、無為の益は、天下これに及ぶこ
と希なり。
○老子の原文
天下之至柔、馳騁天下之至堅。
無有入無間。
吾是以知無為之有益。
不言之教、無為之益、天下希及之。
2013年7月1日月曜日
42.二面性
○老子の原文を道具として解釈したもの
一つの考えがあれば、賛否があり、新たな
発案が生まれる。
発案されたものには善悪がある。
善悪を調整してモノになる。
人は孤立することや不便を嫌う。
だが不便から新しいものが生まれ、新しい
ことをしようとすれば孤立する。
物は不便なところに利益があり、利益を求
めだすと害になる。
誰かが知っていることは、みんなが知るこ
とになる。
知らないものを使うと災いがある。
ただし、災いからも知ることができる。
○老子の読み下し文
道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生
じ、三は万物を生ず。
物は陰を負いて陽を抱く。
沖気(ちゅうき)以て和となす。
人の悪む所は、唯だ孤、寡、不穀なり。
王公は以て称となす。
故に物は或いはこれを損じて益(ま)し、或
いはこれを益して損ずる。
人の教うる所は、我もまたこれを教えん。
強梁(きょうりょう)なる者はその死を得ず。
それまさに以て教えの父となさんとす。
○老子の原文
道生一、一生二、二生三、三生万物。
万物負陰而抱陽。
冲気以為和。
人之所悪、唯孤寡不穀。
而王公以為称。
故物或損之而益、或益之而損。
人之所教、我亦教之。
強梁者不得其死。
吾将以為教父。
一つの考えがあれば、賛否があり、新たな
発案が生まれる。
発案されたものには善悪がある。
善悪を調整してモノになる。
人は孤立することや不便を嫌う。
だが不便から新しいものが生まれ、新しい
ことをしようとすれば孤立する。
物は不便なところに利益があり、利益を求
めだすと害になる。
誰かが知っていることは、みんなが知るこ
とになる。
知らないものを使うと災いがある。
ただし、災いからも知ることができる。
○老子の読み下し文
道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生
じ、三は万物を生ず。
物は陰を負いて陽を抱く。
沖気(ちゅうき)以て和となす。
人の悪む所は、唯だ孤、寡、不穀なり。
王公は以て称となす。
故に物は或いはこれを損じて益(ま)し、或
いはこれを益して損ずる。
人の教うる所は、我もまたこれを教えん。
強梁(きょうりょう)なる者はその死を得ず。
それまさに以て教えの父となさんとす。
○老子の原文
道生一、一生二、二生三、三生万物。
万物負陰而抱陽。
冲気以為和。
人之所悪、唯孤寡不穀。
而王公以為称。
故物或損之而益、或益之而損。
人之所教、我亦教之。
強梁者不得其死。
吾将以為教父。
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