2013年6月28日金曜日

39.目のつけ所

○老子の原文を道具として解釈したもの

 唯一の存在になったものがある。
 天は唯一、光明があり。
 地は唯一、陸をなしている。
 精神は唯一、人に宿る。
 谷は唯一、水をたたえる。
 生命は唯一、生み出している。
 唯一の存在になることで、尊ばれる。
 もとはといえば、天は陰り、地は動き、精
神は狂い、谷は乾き、生命は絶え、尊ぶもの
はなかった。
 混在した中から区別され、根底から積み上
げられた。
 だから優れたものは低俗から現れる。
 低俗を無視することはできない。
 優れたものからは得ることができない。
 完成されたものより、見捨てられたものに
目を向けよ。


○老子の読み下し文

 昔の一を得る者。
 天は一を得て以て清く、地は一を得て以て
寧(やす)く、神は一を得て以て霊に、谷は一
を得て以て盈ち、万物は一を得て以て生じ、
侯王は一を得て以て天下の貞となる。
 そのこれを致せば、天は以て清きことなく
ば、まさに裂けるを恐れんとし、地は以て寧
きことなくば、まさに発(うご)くを恐れんと
し、神は以て霊なることなくば、まさに歇(や)
むを恐れんとし、谷は以て盈つることなくば、
まさに竭(つ)くることを恐れんとし、万物は
以て生ずることなくば、まさに滅ぶを恐れん
とし、侯王は以て貴高なることなくば、まさ
に蹶(たお)るるを恐れんとす。
 故に貴きは賤(いや)しきを以て本(もと)と
なし、高きは下(ひく)きを以て基(もとい)と
なす。
 ここを以て侯王は自ら孤、寡(か)、不穀と
言う。
 これ賤しきを以て本となすに非ざるや、非
ざるか。
 故に数々(しばしば)の誉れを致せば、誉れ
なし。
 ろくろくとして玉の如きを欲せず、珞珞と
して石の如し。


○老子の原文

 昔之得一者。
 天得一以清、
 地得一以寧、
 神得一以霊、
 谷得一以盈、
 万物得一以生、
 侯王得一以為天下貞。
 其到之、
 天無以清、将恐裂、
 地無以寧、将恐発、
 神無以霊、将恐歇、
 谷無以盈、将恐竭、
 万物無以生、将恐滅、
 侯王無以貴高、将恐蹶。
 故貴以賤為本、高以下為基。
 是以侯王自謂孤寡不穀。
 此非以賤為本邪、非乎。
 故到数誉無誉。
 不欲ロクロク如玉、珞珞如石。

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