2013年6月20日木曜日

31.諸刃の刃

○老子の原文を道具として解釈したもの

 武器は緊急時に使う道具。
 扱いにくいものだ。
 普通の感情では使えない。
 人は普通、左手は補助にし、右手で道具を
使う。
 武器は補助する手で使うような道具。
 まれにしか使えない。
 運良く使えても、誰にも使っているところ
を見せられない。
 もし見られると破滅する。
 これが知られると、それと同じ災いが自分
にふりかかるからだ。
 普段から左手は使わず、右手だけを使うよ
うにする。
 左側に道具は置かず、右側に道具を置く。
 いつも普段と変わらないようにする。
 いざとなったら親しい者を裏切ることにな
るからだ。
 武器を使い終われば、何事もなかったよう
に振舞う。


○老子の読み下し文

 それ兵は不祥(ふしょう)の器なり。
 物或いはこれを悪(にく)む。
 故に有道者は処(お)らず。
 君子、居ればすなわち左を貴び、兵を用う
ればすなわち右を貴ぶ。
 兵は不祥の器にして、君子の器に非(あら)
ず。
 やむを得ずしてこれを用う。
 恬淡(てんたん)を上となし、勝ちても美と
せず。
 もしこれを美とする者あらば、それ人を殺
すを楽しむなり。
 これ人を殺すを楽しむ者は、すなわち以て
志を天下に得べからず。
 吉事は左を尚(たっと)び、凶事には右を尚
ぶ。
 偏将軍は左に居り、上将軍は右に居る。
 喪礼を以てこれに処るを言うなり。
 人を殺すこと衆(おお)ければ、悲哀を以て
これに泣(のぞ)む。
 戦い勝てば、喪礼を以てこれに処る。


○老子の原文

 夫兵者不祥之器。
 物或悪之。
 故有道者不処。
 君子居則貴左、用兵則貴右。
 兵者不祥之器、非君子之器。
 不得已而用之。
 恬淡為上、勝而不美。
 而美之者、是楽殺人。
 夫楽殺人者、則不可以得志於天下矣。
 吉事尚左、凶事尚右。
 偏将軍居左、上将軍居右。
 言以喪礼処之。
 殺人之衆、以悲哀泣之。
 戦勝以喪礼処之。

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